menu

代表挨拶


領域代表 塩谷 光彦
東京大学
大学院理学系研究科 教授

化学の究極目標の一つは、あらゆる元素の絶対配置と相対配置を制御し、元素間の結合を自在設計することにあります。したがって、周期表の約8割を占める金属元素について、金属中心の絶対配置や非対称性を制御することは、新しい物質科学を拓くための重要な鍵となります。

 

本研究領域は、金属元素ならびにその配位圏を立体制御、反応、物性発現の場と捉え、金属錯体における非対称配位圏の設計・合成と異方集積化法を理論・実験・計測により開拓することを目的とします。すなわち、金属錯体の配位圏の分子レベル制御に基づき、金属錯体およびそのナノ〜マイクロレベルの集積化により得られる集積型錯体や配位空間において、構造や電子状態の非対称性・キラリティーを構築する方法論を開拓することにより、新しい学理「配位アシンメトリー」を創出します。具体的には、プロキラル金属錯体の不斉誘起などを含むキラル金属錯体の構築法、ならびにアシンメトリック構造集積のための新手法などを確立し、構造・機能・物性の異方性や指向性を有する新機能分子・材料へ展開します。「配位アシンメトリー」は、配位化学を基盤とする物質創成研究に新機軸を打ち出し、有機化学におけるキラル物質化学と双璧を成す新学術分野を拓きます。

本研究領域では、A01(分子アシンメトリー)、A02(集積アシンメトリー)、A03(空間アシンメトリー)A04(電子系アシンメトリー)の4つの研究項目を設定し、理論・実験・計測グループの有機的連携体制をとりながら研究を推進します。

本領域研究により、非対称配位圏の設計法やマルチスケールの異方集積化法に関する新しい学理が創出され、その分子構築や階層構造構築に関する基礎概念が、配位化学のみならず、物質創成に関わるあらゆる分野に浸透し、パラダイムシフトをもたらすでしょう。構成単位となる金属含有物質の全原子の絶対配置と相対配置を合理的に設計し(単位設計)、それらが集積するときの相対位置を精密に制御すること(集積設計)により、独創的な新物質群が具体化されます。このような化学の根幹を見据えつつ、「配位アシンメトリー」という配位化学の最も核となる部分に軸足を置き、あらゆる関連分野を俯瞰して挑戦的融合研究を強力に推進します。